[ポスターのタイトル]
3次元レーザースキャナおよびピカス測定による加計呂麻島のデイゴ並木の台帳開発とi-Tree Ecoによる生態系サービス評価
(英文)Development of an inventory of Deigo Trees on Kakaroma Island using a 3D laser scanner and Picus measurements and assessment of ecosystem services using i-Tree Eco

[目的] 
本研究は鹿児島県瀬戸内町、加計呂麻島のデイゴ並木を対象とし、3次元レーザースキャナや樹木の非破壊診断装置ピカスを用いて樹木形状および健康状態を詳細に測定・診断し、観光資源や景観形成等による文化的サービスの定量化を行う将来的な取り組みに資する樹木台帳を作成することを目的とする。さらに樹木台帳データを入力することでi-Tree Ecoに実装された調整サービスについての定量的評価を行う。
[方法]
今回の調査は、加計呂麻島のデイゴ(Erythrina variegata)並木及び各個体63本について、その外部および内部構造を、それぞれ地上型3次元レーザースキャナeScanM1を用いて測定を行い、樹木医による健康状態を診断する外観診断を行った。並木全体の外部構造としては樹冠構造、樹木密度を、樹木単体の外部構造としては樹高、胸高直径、南北・東西方向の枝張り、枝下高、樹冠欠損、日当たりを測定した。以上のデータを統合することで樹木台帳データベース開発の準備を行った。
樹木台帳データは樹木による生態系サービス定量化ツールであるi-Tree Ecoに入力し、生態系サービス(炭素貯留・固定量、大気浄化、雨水の樹冠遮断、紫外線軽減等の調整サービス)の定量評価を行った
さらにデイゴ並木の歴史的価値の検証の為、地元教育委員会の学芸員の協力を得て、文献調査を行った。
[結果]
1地上型3次元レーザースキャナeScanM1により62本のデイゴを測定した。測定データは現在解析に使用するために分析中で、試験的に次の手順で幹周を計算した。
■ CloudCompareを使った計測の流れ
①.CloudCompareで.lasファイルを開きます。
②計測したい樹木の点群を選択します。
③ 胸高の部分で、樹幹の点群を水平にスライス(断面を作成)します。
④その断面の点群に対して、「2D円フィット」のような機能を使います。
⑤これにより、自動で直径が算出されます。
⑥あとは、「幹周 = 直径 × 3.14…」で計算できます。
2外観診断結果 
外観診断は、樹木の地上部の樹勢、樹形、外傷、病虫害の有無を確認し総合的に診断結果を出し、A(健全)、B(健全に近い)、C(不健全)、D(精密診断)の4段階に判定するものである。
3 iTreeによる解析結果
サイト1:ディゴ通り(加計呂麻島)
既存のディゴ(Erythrina variegata)63本のインベントリを用い、i-Tree Ecoによる生態系サービス評価を実施。種固有の方程式は利用不可のため、科レベル(マメ科)の方程式を適用。主な結果:
炭素貯蔵量:88.12トン
年間炭素吸収量:902.5 kg/年
汚染物質除去量:39.54 kg/年
酸素生産量:2.407 トン/年
流出水量削減量:16.45 m³/年
代替価値:7,710万円
炭素サービスの経済的価値:943.57万円 (貯蔵量+年間吸収量)
幹周分布:98.4%の樹木が直径15.2cm以上
これらの結果は、家族レベル方程式の精度と感度を評価するための基準を提供し、現地測定およびGlobAllomeTree文献から導出された種特異的モデルと比較される。

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